クリーンルーム

地球外物質の微量元素存在度や同位体組成を分析する場合、実験室環境による汚染を最小限に抑えるため、サンプルの準備や化学処理はクリーンな環境で行なう必要がある。クリーンルームとは、エアフィルターでろ過して粒子を取り除いた空気を供給し、室内の浮遊微粒子を抑制する実験室のことである。 HEPAフィルターは、0.3 μm以上の粒子を99.97%保持できるため、クリーンルームの清浄な空気を作るために広く用いられている。各クリーンルームには、部屋に存在する粒子の数と部屋のサイズによって定量化される清浄度の基準がある。たとえば、米国連邦規格で定義されているクラス100とクラス1000は、空気の

1立法フィートあたり、0.5 μmより大きいサイズの粒子がそれぞれ100個と1000個、許可されていることを示している。クリーンルーム内は常に陽圧に保たれており、外部からの粉塵の流入を抑えている。クリーンルームは、前室、クリーンセクション、クリーンセクションの3つのセクションで構成されている。クリーンルーム内の粒子を効果的に除去するため、空気の流れは最もクリーンなセクションから前室に向かうように設計されている。我々のクリーンルームでは、最もクリーンなセクションの清浄度はクラス1000以上である。このセクションには、隕石サンプルの化学処理が行われるクリーンベンチが10個設置されている。クリーンベンチにはそれぞれに小さなHEPAフィルターが装備されており、その清浄度はクラス100以上である。